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月別アーカイブ: 2025年8月

小林通商のよもやま話~第15回~

皆さんこんにちは!

株式会社小林通商、更新担当の中西です。

 

~高品質な中古を見極める~

 

中古のトラック・重機は、状態の見極め再生品質で寿命もコストも大きく変わります。本記事では、仕入れから納車までの舞台裏と、購入前に使える実地チェックリストを公開。初めての方も、乗り換え検討中の方も、失敗しないための基準をお持ち帰りください。


1. 仕入れの良し悪しが8割を決める

  • 履歴の明瞭さ:所有者・用途・点検記録・事故/修復の有無。

  • 稼働実態:メーター値だけでなく、アイドリング割合・短距離繰り返し等の使われ方。

  • 環境:海沿い・寒冷地・粉塵の多寡。腐食やフィルタ負荷に直結。

  • 一次チェック:フレームの波、溶接跡、油圧系の滲み、異音。

良い素体を掴めば、再生に無理がない=長く使えるにつながります。


2. 入庫後の“再生プロセス”——当社が大切にする順序

  1. 受入点検:エンジン・ミッション・デフ・ステアリング・制動・電装。

  2. 油脂フル交換:エンジン油・ミッション油・デフ油・作動油・冷却液。

  3. 消耗品更新:フィルタ、ベルト、ホース、パッド、ローラ、クローラ、バッテリ等。

  4. 機能回復:PTO・油圧配管の漏れ止め、シリンダのシール打ち直し。

  5. 骨格・足回り:フレーム錆処理、足回りのガタ取り(ピン・ブッシュ打替)。

  6. 電装・安全:灯火、バックカメラ、警報、メーター・センサ校正。

  7. 外装仕上げ:下地処理→塗装→コーティング、キャビン・内装リフレッシュ。

  8. 試運転・作動試験:荷をかけた実負荷テスト、漏れ・温度・圧力の再点検。

  9. 記録の整備:交換部品・数値・写真を納車ファイルにまとめる。


3. 中古トラックの実地チェックポイント

  • フレーム:波打ち・曲がり・補修跡、クロスメンバーの歪み

  • サビ・腐食:フレーム内側、荷台下、キャビン下、ボルト頭。

  • エンジン:始動性、アイドリングの振れ、吹け上がり、白/青/黒煙の有無。

  • ミッション/クラッチ:変速ショック、滑り、異音。

  • ブレーキ:踏力、偏摩耗、引きずり、エア漏れ(エア圧計の落ち)。

  • ステアリング:遊び量、戻り、ジョイントのガタ。

  • 電装:灯火・ウインカ・ワイパ・ヒーター、ドアミラーの可動。

  • PTO/架装:ダンプ上げ速度、ユニックの伸縮・旋回、ゲートの上下。

  • タイヤ:残溝・偏摩耗・年式、ホイールの座面傷。

  • キャビン:シート破れ、フロア錆、パネル割れ。


4. 中古重機(建機)の実地チェックポイント

  • アワーメーター:実働と内装・ペダル摩耗の整合。

  • 油圧:アーム・ブーム・バケットの下がり、シリンダロッドの傷、ホース滲み。

  • 旋回・走行:旋回モータ音、スイングベアリングのガタ、走行モータの片寄。

  • 下回り:トラックシュー・リンク・ローラ・スプロケットの摩耗率。

  • ピン・ブッシュ:バックラッシュ量、ガタの位置(先端ほど出やすい)。

  • エンジン:始動性、アイドル音、温度上昇、白/青/黒煙チェック。

  • 電装・安全:灯火、警報、バックカメラ、ROPS/FOPS表示。

  • キャビン:視界、シート、シール剥がれ、各レバーの節度。

試乗のコツ:エンジン暖機前後、負荷をかけて油圧の追従と温度上昇を確認。


5. 書類と履歴の確認(ここが将来価値を決める)

  • 点検記録簿・整備明細:日付・走行/アワー・作業内容。

  • 取扱説明書・配線図:電装トラブル時の対応力が段違い。

  • 架装図面・適合証:改造・特殊装備の適合確認。

  • キー本数・セキュリティ:スペアの有無、イモビ再登録。

  • 付属アタッチメント:ピン径・耳幅・油圧カプラの規格メモ。


6. 保証・アフターサービスの考え方

  • 初期不良対応の範囲(期間・上限・対象部位)を文書で確認。

  • 消耗品の扱い:タイヤやブッシュなどは対象外が一般的。

  • 遠隔サポート代替機手配の目安時間、主要部品の在庫有無。

  • メンテナンスパック:点検・油脂・消耗品を定額化して稼働を守る。

  • テレマティクス:故障予兆や稼働データの共有で“止めない”運用。


7. 納車前の最終チェックリスト(買い手向け)

  1. 外観・骨格:波・歪み・錆の補修状態

  2. 漏れ:エンジン/ミッション/デフ/油圧

  3. 始動・作動:冷間・温間の両方で確認

  4. 消耗:タイヤ/クローラ/ブレーキ/パッド/ローラ

  5. 計器・警告灯:消灯・動作正常

  6. 電装:灯火・バックカメラ・ソナー

  7. 付属:取説・記録簿・スペアキー・工具

  8. 納車ファイル:交換部品リスト・検査写真・数値ログ

  9. 操作レクチャー:安全・日常点検・緊急時

  10. 契約書:保証条件・引渡条件・不具合時の連絡先


8. よくある失敗と回避策

  • 価格だけで選ぶ → TCOで比較、ダウンタイム損失まで入れる。

  • 過走・過時間を避けすぎる → 手入れの良い高アワー/高走行は狙い目

  • アタッチ不適合 → ピン径・耳幅・流量・圧力を実測で合わせる。

  • 輸送・搬入を後回し → ルート・幅・高さ・重量制限を先に確認し、回送手配。

  • 書類不足 → 将来の売却価値を落とす。今揃えるのが得。


中古は仕入れと再生の“見える化”が命。
チェックリストと納車ファイルが整った1台は、買った後に“強い”です。

 

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小林通商のよもやま話~第14回~

皆さんこんにちは!

株式会社小林通商、更新担当の中西です。

 

~「現場が止まらない」を叶える~

トラックや重機は“買った瞬間がゴール”ではありません。導入後も燃料・保険・税・メンテ・ダウンタイムが継続的に発生し、実はここが利益を左右する最大のポイント。本記事では、現場の生産性を落とさず、総保有コスト(TCO)で最適解を出すための実務視点をまとめました。


1. まず「仕事量」を数値化する(要件定義)

  • 年間稼働日/時間:稼働率の基準。

  • 荷姿・重量・距離(トラック)/掘削量・搬送量・作業条件(重機):必要出力とサイズを決める軸。

  • 地形・路面:未舗装・傾斜・段差の有無。

  • 搬入制約:通行幅、高さ制限、騒音・排出ガス規制、夜間規制。

  • 運用体制:運転者のスキル、保守人員、保管場所と電源。

要件定義を最初に“文章化”すると、スペック過剰/不足後からの改造コストを避けられます。


2. トラック選定の基準(物流・建設共通)

  • GVW(車両総重量)と積載量:実荷重+治具+アタッチメントを含めて余裕を持つ。

  • ホイールベース/ボディ長:旋回スペースと積み下ろしの効率を両立。

  • 駆動方式(4×2/6×2/6×4 等):路面条件・勾配に合わせて。

  • サスペンション(板バネ/エア):積荷が壊れやすいならエアを検討。

  • PTO・油圧装備:ダンプ・ユニック・パワーゲート等の駆動源。

  • 安全装備:衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱警報、バックカメラ/ソナー。

  • ボディ選定:アルミ・鋼・複合/内寸/床材(木・鉄・縞板)。

  • 燃料種別:軽油が主流だが、稼働環境により代替燃料・電動も選択肢。


3. 重機(建機)選定の基準

  • クラス(トン数):作業量と運搬制限(回送車・道路事情)を両立。

  • アタッチメント:ブレーカ、クラッシャ、マルチグラップル、フォーク等——油圧流量・圧力の適合を確認。

  • 作動範囲:掘削深さ、リーチ、旋回半径。

  • 足回り:ゴム/鉄クローラ、パッド幅、下回りの摩耗率。

  • 運転環境:キャビン(エアコン・視界)、ROPS/FOPS、騒音・振動対策。

  • 現場適応:粉塵・塩害・寒冷地での対策(フィルタ、グリス、コールドスタート)。


4. 新車・中古・リース・レンタルの使い分け

  • 新車:長期・高稼働でダウンタイム最小化を重視。最新安全装備も魅力。

  • 中古:初期投資を抑えつつ即導入。仕入れ・再生品質が命。

  • リース:キャッシュを温存、税務・会計の平準化に。

  • レンタル:繁忙期や特殊工事の一時需要に最適。
    基幹機は新車 or 上質中古+保守契約、季節需要はレンタルという組み合わせが実務的。


5. これだけは外せない——TCOの考え方

TCO ≒ 購入費(or 月額)+保険・税+燃料+消耗品・定期整備+突発修理+ダウンタイム損失 − 売却価値

  • 燃料:走行/稼働データからリッター当たりの実力値で算出。

  • 消耗品:タイヤ、油脂類、フィルタ、ブレーキ、クローラ・ローラ等。

  • 突発修理:年あたりの発生確率×平均修理費で見積もる。

  • ダウンタイム:1日止まると失う粗利を算定(代替機の手配時間も加味)。

  • 残価:中古相場・輸出相場を参考に保守的に置く。

ポイント:価格だけでなく、**“止めないための総額”**で比較。結果的に安くつくことが多いです。


6. ダウンタイムを防ぐ保守設計

  • 定期点検の前倒し:シーズンピーク前に消耗品を交換。

  • 純正+優良社外の使い分け:重要保安部品は純正、消耗は優良社外でコスト最適化。

  • 油脂管理:作動油・エンジン油の**分析(摩耗粉・水分)**を年1回。

  • 予備機・代替機の手配:近隣レンタル会社と事前スキームを組む。

  • 遠隔監視(テレマティクス):位置・燃費・稼働・アラートで予知保全


7. 資金調達とキャッシュフロー

  • 割賦/オートローン:所有を持って経費化。

  • ファイナンスリース:毎月の資金繰りを平準化、保守込みのパッケージも。

  • 残価設定:将来売却を前提に月額を抑える選択肢。

  • 保守契約の付帯:法定点検+消耗品交換を月額化し、予算の見通しを良くする。


8. 納車までのチェックリスト(そのまま使える)

  1. 仕様書(GVW/アタッチ/油圧/電装)と見積の一致

  2. 付帯書類:点検記録、取説、整備履歴、保証内容

  3. 消耗度:タイヤ/クローラ厚、ブレーキ、ローラ、チェーン

  4. 漏れ・滲み:エンジン・ミッション・油圧

  5. 電装:灯火、バックカメラ、各センサー

  6. テレマティクス・ドライブレコーダー設定

  7. 納車時レクチャー:安全操作、日常点検、緊急時手順

  8. 予備品:フィルタ、油脂、ピン・ブッシュ、グリス


“現場が止まらない”ことが最優先。要件定義→適正スペック→TCO比較→保守設計の順で意思決定すれば、導入後の利益が安定します。

 

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